畑田塾で学んだこと

         筑波大学第二学群生物資源学類  久米由香里

畑田塾には、中学三年生のときに初めて参加しました。それから、先生方のお話を聞けるのが楽しみで、毎年出席させて頂ました。

高校までの授業は教養としての性格が強く、学問の基礎の部分なので、今学んでいることが社会でどのように使われ役立っているかを理解するのは、生徒にとっては難しいものです。ですから、そういう中で、学問にはいろんな分野があり、それらの分野は実生活の様々なところにつながっていること知るのは、大変すばらしいことです。畑田塾では、畑田耕一先生の「聞いて見て触るおもしろ化学」、辻正次先生の「お金はなぜあるのか」、杉田義郎先生の「キレない、健康な心と脳を育てるのに、何が大切?食事や栄養に関する知識は必須」など、先生方はさまざまな分野のお話をして下さいました。私は大学で森林について学んでいるので、金森順次郎先生の「磁石の不思議」など自然科学の分野の話が興味深かったです。 「へえー、今はこんなことがわかるんだ!」と驚きが多く、聞いていてわくわくしました。

また、普段は誰でも、関心のあることについ視野が偏ってしまいがちです。しかし、そのような壁を越えて、小林正典先生の「対人地雷とカンボジア」、糸魚川直祐先生の「サルの社会に学ぶ」など、私の場合、普段はあまり触れる機会のないところでこんな大事な仕事をしている人がいるのだなあと、社会の奥ぶかさを実感しました。

科学の研究という視点からみると、学校では比較的答えのはっきりしていることを学びます。けれど、山本智先生の「富士山頂から星の誕生を探る」のお話を聞いて、これだけ科学が進歩しても、世の中には未だに把握しきれていないことが沢山あることを知りました。大人が作っている社会は、子供の目には完璧に映りがちですが、本当は、分からないことや手に負えないことも沢山あるのですね。

学生が進路やその先の仕事を考えるときに、実際に働いている人の話を聞くことは、とても大切です。学生の立場では足りない経験や視野を得ることができました。また、この塾は小・中・高校生を対象としていますが、今までの経験をふまえて人それぞれの捉え方ができるでしょうから、どのような年代の人達にとってもためになるのではないでしょうか。

第7回の畑田塾は残念ながら参加できなかったのですが、白川先生が実体験の大切さについて語られ、先生の息遣いが聞こえてきそうな近さで先生のメッセージを聞いた子供たちの熱気は最高潮であった、というお話を伺いました。宮沢賢治の「春と修羅」の“あすこの田はねえ”という詩に、本当の勉強は机に座って先生から義理で教わるものでなく、実際の体験の中で大変なことを乗り越えながら学ぶものであるという言葉があります。畑田塾の先生方は、現在第一線で活躍しておられる方々で、自分が実際に経験して学んできたことを話して下さいます。先生方の心のこもった言葉は、いつまでも人の心に残るものです。それらは長い目でみると、その人の人生に何かしら影響を与えるのではないかと思います。自分一人が経験できることは限られますが、人から話を聞くことで、疑似体験になったり、考え方を学んだりと、得るものが沢山あります。

このように、畑田塾では本当にすばらしい経験をさせていただきました。このような貴重な機会を下さった方々に感謝します。

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