登録有形文化財を守りたい!―我が家の奮戦記(2006.9.3)

泉南市  山田 享

 登録文化財に登録すると同時に、保存しながら活用し、町の活性化にも活かしたいとの思いから、地元市民の有志の協力を得て「山田家住宅保存活用協議会」を発足しました。その後、会の主催で毎月第4日曜日を公開日とし、展覧会やコンサート等を開催しています。また、整理した米蔵を民俗資料館として同時に公開しており、今後農機具を使ってむしろ等を実際に作ってみるイベントを計画中です。

リピーター確保にはイベントはかかせません。市の広報等にイベント募集を掲載していただくと、大勢の方が利用・見学され、「懐かしい」「あれも使った、これも知っている」と会話が弾み、「よく残っていましたね」、「ここにいるとほっとします」、「癒されます」という感想をお聞きすると、今まで保存してきた甲斐があり、またこれからの保存のしがいを感じます。

公開日当日は、役員さん達は案内用ノボリや看板の取り付けそして受付を、「泉南案内人の会」の方は家の説明を、それぞれ当番で受け持って頂くなど、皆さんのご好意に支えられて公開を続けております。我家でも当日に備えて前栽掃除等準備にかかります。

この文化財は「所有者の自主的な保護を期待する制度」で維持管理は所有者個人に任されていますが、大多数の方は、文化財と言う名称から国から補助を受けているものという認識で、保存の協力金として任意でいただく100円のパンフレット代をご理解頂けない方もおられるのが現状です。

 「文化財登録制度導入の意義」の文中に『地域の文化財を大切なものとしてよりこれを活かした町づくりを実現してゆく必要がある』とあります。行政は登録の手続きだけで終わりにせず、町づくりの実現の一環として、登録文化財の建物を、子供から大人まで市民の活躍の場として利用できる公的な施設として頂けないでしょうか。登録文化財の保存活用・維持は、所有者個人だけでは困難で、理解ある会員さんとボランティアの皆さんに支えられてはじめて可能になります。行政が一緒になってこの文化財を町づくりに役立てていく姿勢を示して頂けたらと思います。私達はその第一歩としてまず出来る事から始めたものです。


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