伝統的木造住宅の住育の力と歴史的建造物の保存継承(2007.7.1)

大阪大学名誉教授 畑田耕一
大阪府教育委員会文化財保護課主査 林義久
(大阪府登録文化財所有者の会ホームページより許可を得て転載)

 建築は作られたときから独自の文化を担っています。。それを使用し、住まいする人達はその建築に文化を感じつつ、さらに異なる、あるいは、新しい文化を付け加えていきます。使用する人の必要性、考えや工夫によって加えられた大小の改造や住宅の家具もまた文化を担う建築の一部であります。住宅の場合には、柱やふすまの瑕や落書きさえもそこで生活してきた人々の歴史の証であります。建築は住まいし、生活するところであると同時に、人間の歴史を学ぶ最も身近な教材でもあるといえます。建築はまさに歴史・文化を学び、それを伝承・発展させるための教材であり、限りある人の命を超えて文化を伝承する文化財であることを忘れてはなりません。筆者らは以前から人間が生きていくための3大要件、衣・食・住の中の一つである住について、伝統的木造日本住宅が人間形成と文化伝承のための教育の場として大変重要な空間であることを述べてきました。本稿では、文化遺産(文化財)としての建築の中で、特に伝統的木造日本住宅を中心に、教育との関連についてさらに詳細に考察いたしました。内容は、下記の8章と参考文献からなっています。ここをクリックして是非とも全文をお読み下さい。住居の持つ教育力の活用、あるいは建築を通しての教育、すなわち「住育」の大切さを分かっていただけると思います。


1.はじめに
2.建物が持つ潜在的教育力すなわち住育の力
 2.1伝統的木造住宅に潜む住育の力
 2.2学校建築と住育
3.伝統的木造住宅における教育・文化活動
 4.1木の家の温かさ
 4.2伝統的木造住宅と音の響き
 4.3同じ目線で学ぶことの出来る学びの場
 4.4日本住宅の開放性と柔軟性
 4.5家は歴史の学び舎であり教師でもある
5.家は知恵の宝庫、工夫する心の根源
6.「勿体ない」の心と伝統的木造住宅 
7.小学生の文化力を高めよう
 7.1小学校での文化財教育の推進
 7.2小学校への出前授業の進め
 7.3伝統的日本住宅での小学校教育の支援7.4科学技術の進歩と住育
8.終わりに
9.参考文献


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