旧家のぬくもり
畑田家の長屋門をくぐり、主屋に案内された時、ふっと明治から続く人々の暮らしの匂いと、ぬくもりを感じた。家に人あり。この旧家は、私たちが絵を学んでいる中村貞夫先生一家が長年住み、いまも納屋は先生のアトリエになっている。さらに、国の登録有形文化財に選ばれ、畑田塾やフォーラムを開催するなど、知的な活用と、ひらかれた空間を提供している。
私も、田の字型の農家に育ったが、あの阪神・淡路大震災で全壊、父がその下敷きとなり他界した。畑田家当主の畑田耕一氏の味わい深い説明を聞きながら、一瞬にせよ消えたわが家に帰り、父と合い、雑事に汗を流した少年時代の私にも「再会」できたように思えた。感謝。(右の絵は畑田家の蔵)
宝塚造形芸術大学梅田キャンパスエクステンション
宮本範熙